

![]()
![]()
2010.06.03
ポター動物園(その7)
ポターのお話に出てくる動物たちは、ここまでしっかり描きこんでいるかと感心することがしばしばあります。
『あひるのジマイマのおはなし™』に登場するアヒルのジマイマは白い羽色をしています。アヒルは、もともと野生のマガモを飼いならして作り出された家禽です。池や川で白いアヒルを目にすることもありますが、もともと野生に住んでいるものではなく、誰かが放してしまったか、逃げ出して住みついたものに違いありません。
野生のマガモは冬になるとシベリアなどから日本の川や沼に渡ってくるカモの仲間です。
マガモのオスは、嘴は黄色、頭部は緑色、頚部には白い輪があり体の色は灰白色という美しい姿をしています。それに比べるとメスは全身濃い茶色の羽で覆われた地味な姿をしています。そのため、マガモのオスとメスの区別は簡単にできます。アヒルにも体の羽の色はマガモとほとんど変わらないものがいます。この場合も、やはり羽の色で簡単に性別がわかります。ところが白色に作り出されたアヒルはオスもメスも白色なので、どうして区別するのでしょうか。
羽を見ることでオスメスの区別ができる部分が一か所だけ存在するのです。『こねこのトムのおはなし™』では、前出のジマイマが、オスアヒルのドレークとメスアヒルのレベッカの3羽で登場します。白い羽色の3羽が石垣の下の道を1列縦隊で歩くシーンの挿絵を見てみましょう。オスのドレークがどれかはすぐにわかります。いちばん後ろがドレークなのです。マガモのオスは体の色がメスと違うだけでなく尾の部分にくるりとカールした羽があるのです。この羽は家禽化された白色のアヒルにも見られます。挿絵をじっくり見てみましょう。3羽の尾羽を比べるとすぐに違いがわかるはずです。後のアヒルの尾の部分にはカールした羽がしっかり描かれています。
アヒルの描かれた挿絵を端から見てみましょう。どこにオスのドレークがいるのかすぐにわかるようになってきます。このような楽しみを見つけられるのもポターならではのことですね。

日橋一昭
埼玉県こども動物自然公園



